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明石家さんまのご長寿なんたらみたいな番組ありますよね。あれの、 おじいちゃんおばあちゃんが、かつての自分にメッセージ送るやつ好きなんですけど、 あれみたいな気分で日記を書いてます。投稿してから3日間は校正期間。

愛は一方的なもの

 

 

祖母が「仲良しこよしという感じではないけど、仲は良いのよね。」と言った。

 

家族のこと。

皮肉やなタイプの彼女にとっては、殆ど惚気のような発言なのである。

 

私も、ちょうど良いなと思う。

 

「(長男)なんて、来る時以外は年に一度も連絡ないわよ。」

 

でも年に3回集まる時には山盛り手土産を持ってくる。

 

みんな祖父母家が好きである。

 

こちらの血筋に感じの良い人間はたったの一人もいないので、どうしたって「仲良しこよし」風にはならないのだけど、

 

というか、年末年始のテレビで芸能人と有志の一般人が力を合わせてケン玉100連チャン!というヤツを見ながら、その場の全員で「失敗しろ、、、、、!!!!」と願ったりする陰気さなので、

 

なるわけないんだけど、

 

その、一致団結した、感じの悪さが、私たち家族の色なのだなと、最近気づいた。

 

みんな少しずつ性格が悪い。

ニコニコと、あるいは真顔で悪態をつく。

 

それが心地よい。そういうところで育ったから、然。明るく陰気でアダムスファミリーのようだと思う。

 

我が子を含め、3人の子供たちよ、健やかであれ。私たち大人に健やかさを教える器量などないが。勝手にどうにかなさい。

 

 

2年くらい前までは、よく祖父が車で家から実家まで送り迎えをしてくれていた。

 

その最後の方、中野から出発して1/4来た位のところだったかな。

 

「わたしさ、ちょっとキツイ物言いとか、悪口とか、斜に構えたようなことをあえて言うと、周りがちょっと喜ぶな、というのを随分と前に気づいて、そういうキャラとして居ると楽だから、長いこと癖になってやってきちゃったんだよ。だけどもうかなり大人になってしまって、こんな大人がいつまでもそうだと下品だからさ、急にどうしていいのか分からなくなっちゃったんだよね。面白いこと一個も言えないしさ、人を喜ばせる褒め方なんて知らないしさ、なんか疲れちゃったよな。疲れちゃうんだよ。」

 

と言ったらば、

 

「じーちゃんが罵倒クラブに入ってた時の話聞く?」と返された。

 

じーちゃんは、何かエピソードを語る前、きちんとテーマを提示した上で、聞くかどうか尋ねてくるスタイルを基本崩さない。

 

「や、いいわ。」

とは言えないような顔つきで待たれるので、ほとんどプロローグなのである。

 

罵倒クラブって?とは思ったが、質問に質問返すのは野暮かしらと思って、一度スルーしてしまった。以降確認するタイミングを見失ってしまって、未だ分からない。

 

罵倒クラブの鉄則、というものを教わったので、今度簡単にまとめておこうと思う。

 

結局、私の悩みに付き合ったような顔をして、好きなだけウンチク語っただけではないか。罵倒の質アゲタイヨ〜って聞こえたか?まあいいけどね。

 

 

毎年ゴールデンウィークにバーベキューをする。

昨年は、祖父がいざ肉を食べようとしたらひどく苦しがり、えずいて、ついに食べられず、こりゃおかしいぞと病院に連れて行ったら癌でした、なんてことがあった。

 

今年は肉など焼かずに、、、となるかと思いきや、本人が食べたがるところまで回復してくれたので、結局肉を焼くことにした。

 

大概のものは前日祖母と母が買い出してくれたけれど、祖父が当日少し買い足すというので付いて行く。祖父や祖母と、あるいは母と、妹と、2人きりになる時間が好きだ。

 

 

行きは長々と妹の話をした。

 

「あいつはずるい。」と言う。

「要領がいい、よね。」

「いや、ずるい。」

 

妹は確かにずるいのである。

町内一静かだが、いかに省エネに、思い通り、ことを運ぶか、きちんと計算し尽くしている。

 

強み、なのだが、弱みになることもある。

それをどれだけ理解しているのか、と祖父は心配している。

 

大丈夫。どの方面にどの顔すればいいか、それなりに分かっていそうな気がするよ。罵倒クラブのフリで終わってしまった、件の相談は、彼女にした方が良いのかもしれない。

 

祖父といえど、家族といえど、男に「ずるい」と言わせたら、こっちのもんなのだから、そのまま上手いことやっておくれ。

 

 

帰りは色々。

もうそろそろ着きそうだ、という辺りになって、恋人の話を振られる。

 

癌の人から先のことを聞かれたから、変に緊張して、思うように答えられなかった。緊張するうちに、嘘をついたかもしれない。どんなことを言って、どんな風に返されたのか、あんまり記憶にない。

 

関わり方についての話。私が「子供がいるからねえ、とにかく恋愛に関しては、これこれこう考えているよ」とたらたら話し続けるのをじっと聞いてから、要は、もっと単純だよ、ということを教えてくれた。(祖父は人に話を聞かせる、喋り方が上手いと思う。私は焦りすぎる。彼みたいに、ちょっと威張ったような感じがあっても良い。)

 

納得した。

恋人が、血が、とかじゃなく、親子が、というだけでもなく、一緒に生きていくって、こういうことか、単純だな、と思った。意識せず、頑張らず、あくまで自然と、気が付いたら、行き交っていた、というものが祖父母のリビングにはある。それと同じ種類のもの。ああ、一緒に生きるって、家族、そうか。

 

 

家に着く寸前に、きっとわざわざ、話してくれたのだから、覚えておこうと思う。

否定形三段構えから、ストンと落としにいく所が彼らしい。ほとんど原文ママ

 

 

 

「愛は一方通行なもの

一方的に与え続けるもの

それを知らない人はだめ

 

見返りを求める人っていうのは

言葉の端々や態度でわかる

そういう人とは付き合えない

 

すずみに愛情を与えても

すずみにとっては本当の父親では無いのだから

もしかしたらうまく返せないかもしれない

 

それでも愛情を与え続けられるのであれば

大丈夫。」